メアリー・スチュアート (アレクサンドル・デュマ著 作品社)
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作成日時 : 2008/12/20 15:06
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歴史小説は史実とは当然異なるものです。明らかな作者の創作以外に、例えば作中人物の心内描写なども「本当の所は判らない」部分な訳で、その点は常に史実と混同しないように注意が必要です。従ってここで書くメアリーに対する評価は必ずしも史実に基づくものではなく、あくまでこの作品の作中人物としての、スコットランド女王メアリー・スチュアートに対するものです。
「王冠を被ったためんずうぉーかー」というのが、彼女の前半生に対する形容としてぴったりのフレーズのように思えます。最初の夫であるフランス王フランソワ二世とすぐに死に別れてからは転落人生まっしぐらで、二番目の夫ダーンリー卿ヘンリー・スチュアート、三番目の夫のボスウェル伯ジェームズ・ヘプバーンは典型的なダメ男です。しかもこの時期のメアリーは愛人の意見に弱く、彼らの言うままに権力を与えてしまうような、「女王である前に女である」人物でした。これはライバルであるエリザベス一世と全く逆で、結果的に二人の運命を決定付けることになります。
反対派の貴族達に囚われてロッホリーヴン城に幽閉され、一旦は脱出するもののマリ伯の軍勢に敗れた彼女はイングランドに亡命しますが、ダーンリー暗殺への関与を口実にして、エリザベス二世に幽閉されてしまいます。そして長期に渡る幽閉の末に、遂にエリザベス暗殺未遂事件へのでっちあげめいた関与の罪で処刑されるまでの彼女の姿は、確かにある種感動的なのですが、これも「滅び行くものの美しさ」とでも言うべきものです。人間的には善良なのですが意志が弱く、決断すべきときに決断できずに却って悪い方にばかり向かってしまう彼女の後半生は、前半生のつけを払うかのようなものだと感じた私は、あまりに冷たいのでしょうか。
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